目次
作成動機
パブリッククラウド(GCP、AWS、Azure など)はどんどんサービスを追加するので、私個人の整理も含め、皆様がパブリッククラウドを触るためのトリガーになればとの想いで作成しました。
特に AWS は非常にサービスが多く、この表に含まれていないサービスもありますが AWS は日本語情報が多いため、これをベースに Google 先生を駆使して GCP と AWS の様々な素晴らしいサービスを知っていただければ嬉しいです。
サービス対応表 比較表
作成方針
対応表は各サービスの優劣を決めたり、議論するためではなく、エコシステム(共存共栄)の観点で読者が使いたい方、または両方(GCP & AWS)を使うことで、様々な知見が得られるのではないかと期待しています。
なお、AWS は 90 以上のサービスがあり、すべてを対応表に掲載(マッピング)するのは困難で、未記載の AWS サービスがあることにご留意ください。
サービスの記載順序、サービスの掲載有無などの基本方針は以下としています。
- 記載順番はGoogle Cloud Platform 公式サイトの サービス一覧 に従う
- GCP のサービス名は Google Cloud Platform 公式サイト の名称で記載
- AWS のサービス名は Amazon Web Services 公式サイト の名称で記載
- β バージョン(GA になっていないバージョン)のサービスも記載
- API、ディベロッパー ツールなどの細部な比較は本表の可読性を低くするため割愛
コンピューティング
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
---|---|---|---|---|
1 | IaaS | Compute Engine(GCE) | 仮想マシン(VMインスタンス)を提供 基本となるサービス。 GCEが価格性能で優位 |
|
2 | PaaS | App Engine(GAE) | AWS Elastic Beanstalk | 運用が容易なスケーラブルなアプリケーションプラットフォーム GAEは10年の運用実績があり非常にこなれたサービスで安心のプラットフォーム |
3 | Container | Kubernetes Engine(GKE) | Docker コンテナを稼働させるためのオーケストレーションツール(Kubernetes)のフルマネージドサービス 開発元でもある Google社のGKEは機能の最新性や性能で優位 |
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4 | Founction | Cloud Functions | AWS Lambda | 関数の作成。サーバレスアーキテクチャ構築時に幅広く活用 |
ストレージ
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
---|---|---|---|---|
5 | Object Storage | Cloud Storage(GCS) | Amazon S3(S3) | 可用性と耐久性が非常に高く、データの集積場所であり、データ分析の起点となるオブジェクトストレージ 大きな相違はない |
6 | Cold Storage | Cloud Nearline | Amazon Glacier | 月に1回程度アクセスする安価なアーカイブストレージ。GCPは1秒でレスポンス、AWSは数時間 |
7 | Cold Storage | Cloud Coldline | Amazon Glacier | 年に1回程度アクセスする安価なアーカイブストレージ。GCPは1秒でレスポンス、AWSは数時間 |
8 | File System | Cloud Storage FUSE | Amazon Elastic File System | 仮想マシンにマウントし、アクセスできるファイルシステム |
9 | データ移行 | Cloud Data Transfer | オンプレミスサーバーをクラウドへマイグレーション(移行)するためのサービス。ほか、大容量のデータ転送、他クラウドからの転送 | |
10 | Hybrid Storage with オンプレミス | – | AWS Storage Gateway | オンプレミスサーバにマウントしているディスクをクラウドから読み書きが可能 |
ネットワーキング
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
---|---|---|---|---|
11 | Load Balancer | Cloud Load Balancing | Elastic Load Balancing | 負荷分散(レイヤー4、レイヤー7)を提供する可用性が極めて高いロードバランサー |
12 | 専用線接続 | Cloud Interconnect | AWS Direct Connect | 自社環境とクラウドをセキュアに接続するネットワーク(レイヤー2) |
13 | VPN接続 | Virtual Private Cloud(VPC) | Amazon VPC | 仮想ネットワーク(レイヤー3) |
14 | DNS | Cloud DNS | Amazon Route 53 | DNS のフルマネージドサービス |
15 | CDN | Cloud CDN | Amazon CloudFront | CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)のフルマネージドサービス |
データベース
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
---|---|---|---|---|
16 | RDBMS | Cloud SQL | MySQL、PostgresSQL のフルマネージドサービス。AWSは6つのDBから選択可能 | |
17 | NoSQL | 低レンテンシ(通信遅延)で高スループットなDBを実現(KVS、ドキュメントDB、XML DB など) | ||
18 | 分散型 RDBMS | Cloud Spanner | – | ストロングコンシステンシーとスケーラビリティを兼備し、複雑なクエリにも対応出来るマルチマスタのRDBMS |
ビックデータ
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
---|---|---|---|---|
19 | データウェアハウス | BigQuery | 大規模なデータ分析に対応。ペタバイト規模のデータ処理が可能 | |
20 | バッチ処理 / ストリーム | Cloud Dataflow | Apache BEAM をベースとしたフルマネージドサービス。ワークフロー(データ駆動型を含む)のスケジュール実行 もともとGoogle社 が開発のためDataflowは最新性で優位 |
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21 | Spark / Hadoop | Cloud Dataproc | Elastic Map Reduce | Map Reduce をベースとしたフルマネージドサービス |
22 | データ分析 ツール | Cloud Datalab | Amazon SageMaker | Jupiter notebook をベースとしたデータ分析フルマネージドサービス |
23 | ETL | Cloud Dataprep | AWS Glue | ETL(Extract / Transform / Load)を提供するフルマネージドサービス |
24 | 非同期メッセージング | Cloud Pub/Sub | リアルタイムで信頼性の高いメッセージングとデータのストリーミングサービス | |
25 | 遺伝子解析 | Google Genomics | – | ペタバイトの遺伝子データを効率的に処理し、大きな問題を解析、データ共有が可能 |
26 | BI ツール | Google Data Studio | Amazon QuickSight | データの可視化が可能なダッシュボードを提供 |
IoT
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
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27 | IoT | Cloud IoT Core | IoT / M2M デバイスとクラウド間をセキュアに接続し、データ送信 / 分析、その他サービスとの連携が可能 |
機械学習
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
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28 | ML | Google Cloud Machine Learning | TensorFlow を用いた機械学習サービス。GPU 等利用した大規模なモデルの構築と学習処理が可能 | |
29 | API / ツール | Cloud Jobs API | – | 求人サイトに機械学習を活用するプラグアンドプレイ API(限定公開 α 版) |
30 | Google Cloud Natural Language API | Amazon Comprehend | 自然言語分析サービス。構文解析や感情分析が可能 | |
31 | Cloud Speech API | 音声のテキスト変換サービス。高度なニューラルネットワークモデルを適用 | ||
32 | Cloud Translation API | Amazon Translate | テキスト翻訳サービス。テキストをソース言語からターゲット言語に動的翻訳 | |
33 | Cloud Vision API | 画像分析サービスを提供。画像に含まれる情報の取得、不適切な画像の検出、文字認識(OCR)機能を提供 | ||
34 | Google Cloud Video Intelligence API | – | 動画コンテンツ分析(メタデータの抽出)が可能 | |
35 | チャットボット | Dialogflow | Amazon Lex | 音声 / テキストに対応するチャットボット |
36 | ASIC による ML | Cloud TPU | – | 4台の ASIC で構成したクラウド TPU マシンアクセラレーター(TPU:Tensor Processing Units) |
IDとセキュリティ
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
---|---|---|---|---|
37 | IAM | Cloud IAM | AWS IAM | アクセス制御(権限付与 / 削除)の管理 |
38 | WAF | ‐ | AWS WAF | ウェブアプリケーション・ファイアウォール機能 |
39 | DDoS保護 | Cloud Load Balancing | AWS Shield | DDoS 攻撃を軽減する機能 |
40 | ID 連携 | G Suite ※ | AWS Directory Service | Active Directory などの ID 連携するサービス GCPはアカウント管理をG Suiteと連携出来る。 |
41 | シングルサインオン | G Suite ※ | AWS Single Sign-On (SSO) | 1つのアカウント / ID で複数のサービスにアクセスできるサービス |
管理ツール
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
---|---|---|---|---|
42 | Monitoring / Logging | Stackdriver Monitoring | AWS CloudWatch | ロギング、モニタリング、アラート、パフォーマンス確認などの総合監視サービス。GCPからAWS(一部のサービス)の監視は可能 |
43 | Deployment | Cloud Deployment Manager | AWS CloudFormation | 事前に自分が定義した構成でアプリケーションをデプロイ |
44 | API 開発 / 管理 | Google Cloud Endpoints | Amazon API Gateway | API の構築 / デプロイ / 管理(Swagger UI 対応) |
その他
No | サービス | GCP | AWS | コメント |
---|---|---|---|---|
45 | マーケットプレイス | Google Cloud Launcher | AWS Marketplace | 事前に登録されている OS / ソフトウェアを GCE にデプロイ |
46 | SSL 証明書 | Google の SSL 証明書(GCEは除く) | AWS Certificate Manager(ACM) | Let’s Encrypt で無料取得可能。2018年2月27日からワイルドカードも対応 |
47 | ドメイン | Google Domains ※ | Amazon Route 53 | ドメインの取得 / 更新サービス |
48 | Web メール | G Suite ※(Gmail) | Amazon WorkMail | 送受信可能な Web メール |
49 | 共用ドライブ | G Suite ※(Drive) | Amazon WorkDocs | 柔軟なアクセス権限を備えた共用ドライブ |
50 | ビデオ会議 / チャット | G Suite ※(Hangout) | Amazon Chime | コミュニケーションツール |
51 | リモートデスクトップ | Chrome リモート デスクトップ ※ | サーバー(VMインスタンス)にリモート接続するためのツール |
- No.40,41,48,49,50 は Gmail や Google ドライブ等 Google のグループウェアツール(SaaS)
- No.47 は Google が提供するドメイン提供サービス
- No.51 は Chrome リモート デスクトップ は Chrome のアドオン
サービス操作方法の比較
GCP / AWS は各サービスを操作するために以下を用意しています。
Interface | GCP | AWS |
---|---|---|
GUI | https://console.cloud.google.com | https://console.aws.amazon.com |
SDK | Cloud SDK(gcloud, gsutil bq) | https://aws.amazon.com/jp/tools/ |
CLI | Cloud Shell(Cloud SDK 利用可能) | AWS CLI |
GCP / AWS アイコンのダウンロードサイト
アーキテクチャ図(システム構成図)用のソリューション アイコンは以下です。
参考書籍 / サイト
書籍
- プログラマのためのGoogle Cloud Platform入門 サービスの全体像からクラウドネイティブアプリケーション構築まで
- 仕事で使える! Google Cloud Platform 最新クラウドインフラ導入マニュアル (仕事で使える! シリーズ(NextPublishing))
- ゲーム開発が変わる! Google Cloud Platform 実践インフラ構築 (NextPublishing)
サイト
- AWS re:Invent 2017 新サービス紹介 Advent Calendar 2017(Qiita)
- Google Cloud Platform Advent Calendar 2017(Qiita)
- AWSとGCPの対応表(2016年7月版) クラスメソッド社
まとめ
本記事を参考に、GCP / AWS の様々なサービスを知る機会になれば幸いです。相当のサービスが相互に存在することが確認出来たと思います。ただし、いずれのクラウドも進化が速いので、大規模なイベント (GCP:NEXT、AWS:re:Invent)後、別記事にて更新できればと考えています。
追加点や修正点があれば是非ともご連絡ください。筆者は今年から AWS → GCP へシフトしたので、AWS は時間に余裕がある時に触っている程度です。GCPUG / JAWS-UG 等の皆様からのフィードバックを楽しみにしています!
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